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Prompt体系とAI協調開発

1. Prompt体系の全体像​

本章では、A2E プロジェクトの開発段階で採用している Prompt 駆動の協調メカニズムを説明します。この体系は、要件整理、技術分解、実装推進、納品後の振り返りを組織するためのものであり、A2E エンジンの実行時能力そのものではありません。

Prompt 体系は2種類の文書で構成されます。

  • Guide:各段階の目的、境界、入力、出力、完了基準を定義します。
  • Template:各段階文書の構造を定義し、記録形式と成果物内容を揃えます。

現在の体系は、3つの起点と5つの主段階をカバーしています。

  • 起点:Story / Feature / Issue
  • 主フロー:Draft -> Plan -> Code -> Iteration -> Review

2. ドキュメント駆動開発フロー​

このフローの目的は、「アイデア」を段階的に「検証可能な成果物」へ変換し、その各ステップで追跡可能な記録を残すことにあります。

2.1 Story​

Story / Feature / Issue はフローの入口であり、「今回どの問題を解決するのか」を定義します。

  • Story:新しい業務目標や新規能力向け
  • Feature:既存能力の強化、変更、範囲調整向け
  • Issue:不具合や異常挙動の修正向け

この段階では、問題定義を明確にすることに重点を置き、実装案には入りません。

2.2 Draft​

Draft は要件整理とプロトタイプ確認を担い、業務言語からエンジニアリング言語へ移るための重要な層です。

  • ユーザー視点で主要シナリオ、境界、異常状態を記述します。
  • 今回の範囲と範囲外を明確にします。
  • 期待値を素早く揃えるため、議論可能なプロトタイプや画面要点を示します。

この段階の価値は手戻りの削減にあります。まず「何を作るか」を揃え、その後で「どう作るか」に進みます。

2.3 Plan / Code / Iteration / Review​

Plan:技術分解と受け入れチェックリストの段階

  • 要件を技術タスクと実行順序へ写像します。
  • 検証可能な受け入れ項目で成功条件を表現します。
  • リスク、依存関係、ロールバック方針を明確にします。

Code:実装記録の段階

  • 計画に沿って構造設計、代替戦略、テスト設計、機能実装を進めます。
  • 主要な判断と変更影響を記録し、追跡可能性を保ちます。

Iteration:問題収束の段階

  • 初回テスト実行後に、問題を分類し、修正し、再テストします。
  • 主な問題を納品可能な状態まで収束させ、残件を明確に記録することが目的です。

Review:納品確認の段階

  • ユーザーフィードバックに基づいて、期待と実際の差異を分析します。
  • 確認済みの修正事項を、次のイテレーション入力へ変換します。

Guide と Template の対応は次のとおりです。

段階Guide の焦点Template の成果物
Story / Feature / Issue問題定義と範囲St / Ft / Is 記録
Draft要件整理とプロトタイプ確認Df 文書
Plan技術分解と受け入れ基準Pl 文書
Code実装過程と変更記録Cd 文書
Iterationテスト収束と修正閉ループIt 文書
Reviewフィードバック分析と修正確認Rv 文書

3. 人間とAIの分担​

A2E の協調方式では、人間と AI は異なる責務を担います。

  • 人間が担うこと:
    • 目標定義とスコープ調整
    • 重要な取捨選択と最終受け入れ
    • リスク判断と優先順位決定
  • AI が担うこと:
    • 文書草案作成と構造化整理
    • 技術分解と実装推進
    • テスト修正と回帰提案
  • 共同責務:
    • 用語の一貫性維持
    • 文書と実装の同期
    • 成果物の説明可能性と追跡可能性への責任

この分担は、「人間主導・AI加速」を強調するものであり、意思決定をツールへ丸投げするものではありません。

4. 品質ゲートと回帰戦略​

品質管理は3層で構成されます。

  1. 文書ゲート
    • 各段階に対応する記録が必須であり、目標、実装、受け入れが追跡可能であることを保証します。
  2. エンジニアリングゲート
    • 型、スタイル、ビルド、テストなど既存の品質チェックで変更の安定性を検証します。
  3. 納品ゲート
    • Review でユーザーフィードバックの閉ループが完了しない限り、完了とは見なしません。

回帰戦略は「小さく速く進める」ことを重視します。

  • まず主要経路に集中し、その後で境界シナリオへ拡張します。
  • 各イテレーションで、解決済み / 未解決 / 保留の結論を明確に示します。
  • 未解決問題については、記述で止めず、実行可能な次の一手を残します。

5. 実践知見と制約​

実践知見:

  • 統一された Guide + Template により、コミュニケーションコストを大きく下げられます。
  • 文書駆動の進め方は、複雑な協調を管理しやすい小さな段階へ分解できます。
  • 同じフローで、プロダクト議論、技術実行、納品振り返りを同時に支えられます。

現在の制約:

  • この体系はまだ Experimental 段階であり、実開発の中で継続的に改善されています。
  • フロー品質は入力品質への依存が高く、目標が曖昧だと後続段階でずれが増幅されます。
  • AI は速度を上げられますが、とくに境界やリスクに関する重要判断は人間の関与が必要です。

6. 文書ディレクトリ​